己を「偽物」認めながらも、動機を再び設定する

さて、今日から新生活が始まることを記念して、この一年間考えたことの中で今の自分のスケールにあったことを書いてみようと思う。もともとtwitterに流す予定だったけど、長すぎるので急遽ブログの記事にしました。内容としては二週間前に呟きの続きで、一度…

中世における理性と信仰の関係(2)

最近、プロスロギオンというトマスアクィナスと異なる神の存在証明を呼んだのですが、これがなかなか強烈で、第一章は議論ではなく、ほとんど神に対する熱烈な祈りみたいなもので、証明としては現代から見るとかなり奇妙なんです。そして一章の最後ではこう…

まおゆう 一巻

まおゆう魔王勇者 (1) 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」作者: 橙乃ままれ,toi8出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2010/12/29メディア: 単行本購入: 25人 クリック: 1,935回この商品を含むブログ (172件) を見る本にしてみると、ず…

中世における神とはどのようなものか

前回の記事で中世において神の存在証明は神が存在することを前提にして書きましたが、それでは神は中世においてどんなものであったのか、について学んだことをうらつらと書いていきたいです。 まず中世において近代のように神は人格化しておらず、非常に哲学…

諦めの念を持って、トラウマと付き合っていく

西尾維新の「猫物語(黒)」を再読して思ったのだが、相手のトラウマを極端に認めることを結構有効な手立てなのかもしれない。阿良々木くんのちと長い説教なんだけど、引用してみる。 「お前はその性格のままで一生生きていくんだよ!変われやしねーんだ!別…

中世における理性と信仰の関係

理性と信仰の対立はアウグスティヌスにおいて、理性的探求は信仰から出発して神の直観をめざして進む、という考え方でもって統合されている。すなわち、アウグスティヌスは預言者イザヤの「あなたがたはもし信ずるのでなかったのなら悟ることもないんだろう…

何で人は自殺をしてはいけないの?

トマスアクィナスの「神学大全」を授業で読んでいるのですが、最近扱ったテーマが「人は自分を殺すことを許されるか」でして、トマスは「許されない」と答えるんです。いわく、人間は神の被造物であるので、神は人間の生殺与奪の権を握っており、人間はかっ…

地動説から科学へ

さて、今までの自然現象の説明体系と密接に関わっていた天動説から地動説への変換は、様々な疑問が生まれました。例えば、地球が動いても雲が置き去りにされない理由はなんなのかとか。しかも、地動説は今までの説明の根拠であった聖書の「太陽は地球を止め…

読んだ本 風雲児たち

風雲児たち 幕末編1 (SPコミックス)作者: みなもと太郎出版社/メーカー: リイド社発売日: 2002/07/26メディア: コミック購入: 5人 クリック: 65回この商品を含むブログ (38件) を見る最近、読み始めました。さまざま人物が登場する群雄劇。非常に面白いく、…

アブダクション 第三の推論法

今学期、知り合いの読書会に参加しています。読でんでいる本は向井周太郎著「デザイン学 思索のコンステレーション」です。デザインは僕の興味の中心ではないのですが、昔日立製作所の丸山 幸伸 がおっしゃっていた”デザイン的思考”というものが気になってい…

人間の尊厳について

人間の尊厳について (アウロラ叢書)作者: ジョヴァンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ,大出哲出版社/メーカー: 国文社発売日: 1985/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ルネサンスの新しい人間観を表現した本としては、一番適当かと。この本…

天動説から地動説へ

科学の発生する契機として、重要であったのはコペルニクスによる天動説から地動説による転回でし。この転回によって、学者たちは従来の世界観を捨てて、新たなものを作り上げる必要がでてきました。なぜなら、従来の世界観の基盤となっていたアリストテレス…

16世紀の怒涛

ジョンロックの「統治二論」を読んで、この時代におけるキリスト教というものがどういうものだったのかと、調べていたら、16世紀のヨーロッパが非常に面白いことに気づいた。もともとママレさんの「まおゆう」を読んで、社会思想史を楽しみ始めたから、そ…

実験が科学を生んだ

授業で科学史を取っているのですが、これがめっぽうに面白く、毎週受けるのが楽しみでしょうがないです。授業の内容は幕末・明治維新前後における日本という、まさに東洋の学問と西洋の学問が衝突する時期であり、物語のダイナミズムが感じられる時期です。…

初めに

ここでは、まあ、学んだこと、感じたこと、考えたことをつらつらと書いていく予定です。 いろいろとアカデミックなことも書いていくと思いますが、どんなときでもその中心となっているのは、物語です。例えば今楽しんでいる社会思想史や、科学史、16世紀あ…